これまで「経営・管理」の在留資格については、制度の濫用や、実態を伴わない事業の増加などが課題として指摘されてきました。
こうした状況を背景に、制度の適正な運用を図るため、上陸基準省令等を改正し、大幅な要件の厳格化が行われました。
中でも特に大きな変更点では、これまで500万円以上とされていた資本金等の要件が3,000万円以上となり、さらに常勤職員を1人以上雇用することが義務化されました。
制度を悪用するようなケースや、実態の伴わない事業を一定程度排除していくことは、制度を適正に運用していくためにも必要なことだと思います。
ただ、その一方で、会社の規模は小さくても、日本で真面目に事業を続け、きちんと納税をしながら頑張っている経営者の方もたくさんいらっしゃいます。そのような方々まで、今回の厳格化によって日本で事業を続けることが難しくなってしまうとすれば、個人的にはとても残念に思います。
小さな会社からスタートして、少しずつ事業を成長させていく。そんな形で日本で頑張ってきた方や、これから日本で事業に挑戦したいと考えている方にとって、資本金3,000万円や常勤職員の雇用という要件は、かなり高いハードルになったと感じています。
すでに日本で会社を経営している方の中には、今後の事業継続に不安に感じ、日本での事業を諦め、帰国を検討している方もいると聞きます。これまで日本で真面目に事業を続けてきた方のことを考えると、複雑な思いがあります。
一方、すでに「経営・管理」の在留資格で活動している方については、改正後3年間の経過措置(2028年10月まで)が設けられています。この期間の更新申請では、新しい要件を満たしていない場合でも、経営状況や今後の見込みなどを踏まえて総合的に判断されることになります。
ただし、経過措置があるから何もしなくても大丈夫ということではありません。今後のことを考え、できることから少しずつ準備を進めていくことも大切だと思います。
制度を適正にしていくことは大切だと思います。ただ、会社の規模だけではなく、これまで真面目に経営を続けてきた実績や納税状況なども含め、一人ひとりの事業の実態をしっかり見てもらえる制度であってほしいと、個人的には思っています。
日本で真面目に頑張っている方の力に少しでもなれるよう、これからも最新の情報を学びながら、しっかりサポートしていきたいと思います。
行政書士 黒瀧克也


